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救世主は元カレ Page1

ผู้เขียน: 日暮ミミ♪
last update ปรับปรุงล่าสุด: 2026-01-31 09:57:00

 ――こうして、あたしにとってごくのような結婚生活が始まった。

 結婚式には、新郎側が大企業の一族ということもあり、仰々ぎょうぎょうしいほど盛大な披露宴ひろうえんが行われた。でも、あたしは全然楽しくなかったし、その時の豪華なお料理の味も思い出せない。

 そこはあくまで「藤木一族の嫁を世間に公表する場」であり、しんであるあたし自身がこの結婚を喜んでいようがいまいが、あたしが死刑台に向かうような気持ちでいようが、出席者には一切関係なかったらしい。

 そして、彼――新郎である正樹さん――の態度にも、あたしは絶望した。彼は式の間も披露宴の席でもずっとあたしには素っ気なく、それはしょでも変わらなかった。

 彼には、あたしを女として愛する気は全くないらしい。だから、初夜にあたしを抱いたのも,彼にとってはただのデモンストレーション。儀式でしかなかったのだ。

 あたしはそんな男と、チャペルの祭壇の前でいつわりのちかいを立てさせられたのだった――。

 ハネムーンにも行かず、あたしと正樹さんとの新婚生活が始まった。

 救いだったのは彼の実家での同居ではなく、実家近くの高層マンションでの夫婦二人きりの暮らしだったこと。それでも、あたしには気の休まるヒマがなかった。原因は彼のお義母かあさまだった。

「里桜さん、あなたは藤木家の嫁なんですから。自分の考えは捨てて、常に正樹を立てるようになさい。それが嫁の務めですよ」

 義母はことあるごとに新居をたずねてきては、あたしにそんなことを言っていく。典型的な「嫁いびり好きのしゅうとめ」だった。

 お義父とうさまにはご恩があるし、あたしのことを気にかけて下さるから、義父との関係はまずまず良好なのだけれど。

 父の会社も買収されることなく、これまで通りに〈田澤フード〉として経営させてもらっているそうだし。

 でも、義母と正樹さんはあたしの人格そのものが気に入らないらしい。というか、正樹さんはあたしに関心がないらしいし、何事も義母の言いなりだ。この二人はいわゆる典型的な〝モラハラ親子〟だった。

 あたしが「パートで働きたい」と言った時にもひと悶着もんちゃくあったけれど、彼はどうにか許してくれた。

 見つけた仕事は、小さな印刷会社の事務の仕事。幸い商社勤めをしていたから、パソコン作業は得意だった。接客業や飲食店で働くよりはあたしに向いていたと思う。

 ただ、あたしの趣味には彼はうるさかった。

「下らない。――そんなど素人しろうとが書いたもの、誰が読むんだ?」

 あたしは結婚前から、趣味でネットの投稿サイトに小説を書いてアップしていた。プロにならなくていいから、あたしの書いたものを読んでほしい。楽しんでもらいたい。ただそれだけだった。

「別に、趣味で書いてるだけだからいいんです。あなたには迷惑かけませんから」

 あたしはとにかく、外の世界の人にあたしという一人の人間を認識してほしいだけ。これだけは取り上げられたくない。

 外で働くこともまた、あたしがあたしでいたいという意思の表れだったのだ。

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